おろおろして的確な指示が出せない主治医

人工骨頭置換術を受けた60代の男性患者が肺梗塞で亡くなられたときのことです。

その患者さんには、もともと心疾患の既往歴がありました。そうはいっても、術前には、特別な管理を必要とするほどの心機能ではなく、術後もICUを経ずに病棟に帰ってくることになっていた患者さんでした。手術は無事に終わり、患者さんも、術後心臓系のトラブルもなく、全身状態も順調に回復をされていき、また、患部についても同様に、問題なく回復をされていき、離床が始まる頃になりました。

その日は清拭が終わり、さて、歩きましょうか、という頃になって、急に胸が苦しい、と言われ始めました。すぐにベッドに安静にし、酸素を開始、心電図をとり、モニターを装着し、整形外科の主治医を呼びました。

主治医は、若手ではありましたが、整形外科専門医の資格を持つ医師でそれなりの経験もある医師でした。ただ、整形外科の医師は全身がみれない、としばしばいわれるように、主治医は、この状態の患者さんをみて、何が起こったかわからず、パニック状態になっていきました。既往歴にある心疾患からの心病変であると考えて、さまざまな指示を出したのですが、まったく患者さんの状態はよくならないままで、

むしろ、意識が低迷し、危険な状態になっていきました。看護師としてのアセスメントは、肺梗塞でしたが、仮にも医師を相手に、明確には言えません。しかしながら、おろおろして的確な指示が出せない主治医では、患者さんが亡くなられると感じ、看護師判断で、集中治療室担当の麻酔科医師を呼びました。主治医は、自分の患者のところに麻酔科医師がなぜきたのか、という反応ではありましたが、プライドもあり、自分がコンサルタントのためにお呼びしたという対応をしていました。結局、麻酔科医師の診察で肺梗塞であろうということになり、集中治療室に運ばれていくことになったのですが、最終的には、運ばれていく間もなく、病室で亡くなられてしまいました。

その後、ご家族が来られ、整形外科の主治医が家族に説明をされましたけど、その説明の内容は、自分には落ち度はない的な内容でした。加えて、全てが終わった時に言われたことは、看護師が離床時の注意を怠った、とか、看護師が当初自分を呼ぶのが遅かった、とか、看護師が勝手に麻酔科医師を呼んだ、とか、ということであり、自身については何の振り返りもしていない内容でした。看護師は、職業としての独自性があるし、独占業務も持っている専門職であると考えていますが、法的には、診療の補助という業務もあり、こんな医師であっても、医師の指示を受けて仕事をしないといけないという看護師という仕事に対して、むなしく、そして、つらいことと思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です