看護師は召使いじゃない

とある企業系と、その企業のある自治体とが運営している病院の、全科混合特別病棟で勤務していたときのことです。

特別病棟ということで、最低でも個室料金は12000円、高い部屋は50000円以上する、そういった個室ばかりの病棟で、常に入院してこられる方は、企業の偉い方、そのお身内、なにかしら小金持ちな方ばかりでした。
あるとき、とある企業の重役さんの奥様が入院をしてこられました。個人情報ですので、病名は記載できませんが、体の機能が亢進してしまう病気で、また、気分が高揚して、多弁になるということもある病気です。検査と治療が目的で入院をされたのですが、治療としては内服が主で、体が動かないなどの症状はない方でした。その方の看護としては、お話を聞くことも、とても大事でしたので、結構長い時間お話をうかがっていました。お話をうかがう、といっても、治療的な傾聴であり、単に世間話を聞いているわけではない、看護ケアの一つで、そう思って対応していました。また、特別病棟で個室になっているものですから、その部屋に一旦入ると、退室するタイミングを見計らうのはとても大変でした。

師長さんは、毎日患者さんの部屋にラウンドをして、お話をうかがうということをされていたのですが、ある日、その患者さんが、師長さんに「ここの看護師さんは、とても暇なようで、私がいつも話の相手をしてあげていたのですけど、この間来た看護師さんは、私の気分を損ねるようなことをして、とても不快でした。もう来ていただきたくありません。私は、こんな高い入院料を払っていて、しかも、看護を受けたことになっていますけど、何の看護を看護師さんがしてくれたのでしょうか。薬を配るのが看護ですか。」というニュアンスのことを言われたそうです。

もちろん、師長さんは、患者さんのことも病気のこともよくご存じですので、看護師を責めるわけではなく、単にエピソードとしてこの話を、ミーティング時にされたわけですけど、特に夜勤のときなど、少ない人数で多くの患者さんのお世話をしているときに、この方のお話を丁寧に聞いていた、あの時間は何だったのよ、というむなしい思いが残りました。

もちろん、病気のなせることではありますが、病気でなくても、常日頃より、「うちの主人は、○○企業の○○役をしていて・・・」といったことを繰り返しおっしゃる方ですので、人としてどうなのよ、というの部分もあると思うようなところがあり、不快な思いをしました。小金持ちの患者さんに限って、よく勘違いされるのですが、高い入院料と言われても、それは特別な入院料ではなくて、あくまで個室の代金であるということは理解してもらえず、高い入院料を払っているのだから、看護師は自分たちの召使のように思われているのは大変不快な思いになります。

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